プロローグ
平日の午後、宅建探偵事務所。こむぎちゃんが、机の上にキラキラしたシールを何枚か並べて、にこにこしていた。
先週、わたし、友達にお菓子を一袋プレゼントしたんですよ。
中におまけシールが入ってるやつ。
気前ええやんか。
当たり前なんですけど、なんか不思議で。
そら当然やろ。
お菓子と一緒に渡したから自然なのに、シールだけ取り戻そうとすると、なんかせこい感じになっちゃう。
まあ、譲った以上はもうセットで友達のもんっちゅうことや。
そこへ、丸山ハウジングの若手営業・南向壱星が、ノートと資料を抱えて入ってきた。
あの……軒高さんの件、その後ちゃんと別の融資の話で前に進めてもらってます。
今日はまた別件で、お客様の住宅ローンのことで聞きたくて。
あの件はちゃんと自分の頭で結論出して、しかも代わりの道まで通したっちゅうことやろ。
ええ営業に育っとるやんか。──ほな今日はお客様の件か。
座って座って。
今日の事件:若いご夫婦の住宅ローン
借入は1,000万円。
銀行さんが「ペアローンと、ご主人単独のローン+奥様が連帯保証、どちらにしますか?」って提示してきて。
ご夫婦から「どっちが私たちにとって有利なんですか?」って聞かれちゃって。
壱星はノートを開き、続けた。
もう片方は、ご主人が借りて奥様が連帯保証人になる形。
どちらも「夫婦二人で背負う」という意味では似てるんですけど──軒高さんの件をやって以来、わたし、保証ってすごく重い契約だなって身に染みてて。
「似てるようで、片方に何かあったとき、もう片方にどう響くかが違うんじゃないか」って気がするんです。
けど、そこがちゃんと整理できてなくて。
お願いします。
ちょうど壱星さんが持ち込んだ二つのケースは、過去の宅建試験でもそっくりそのまま問われていた。平成20年の問6である。登記田はホワイトボードに、その問題を書き写した。
AからBとCとが負担部分2分の1として連帯して1,000万円を借り入れる場合と、DからEが1,000万円を借り入れ、Fがその借入金返済債務についてEと連帯して保証する場合とに関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。
- Aが、Bに対して債務を免除した場合にはCが、Cに対して債務を免除した場合にはBが、それぞれ500万円分の債務を免れる。Dが、Eに対して債務を免除した場合にはFが、Fに対して債務を免除した場合にはEが、それぞれ全額の債務を免れる。
- Aが、Bに対して履行を請求した効果はCに及ばず、Cに対して履行を請求した効果はBに及ばない。Dが、Eに対して履行を請求した効果はFに及び、Fに対して履行を請求した効果はEに及ばない。
- Bについて時効が完成した場合にはCが、Cについて時効が完成した場合にはBが、それぞれ500万円分の債務を免れる。Eについて時効が完成した場合にはFが、Fについて時効が完成した場合にはEが、それぞれ全額の債務を免れる。
- AB間の契約が無効であった場合にはCが、AC間の契約が無効であった場合にはBが、それぞれ1,000万円の債務を負う。DE間の契約が無効であった場合はFが、DF間の契約が無効であった場合はEが、それぞれ1,000万円の債務を負う。
ケース①の「AからBとCが連帯して借りる」がペアローンに相当する。
ケース②の「DからEが借りて、Fが連帯保証」が、ご主人+奥様連帯保証パターンや。
──今日はこの中身を、保証の二大性質「付従性」と「随伴性」を軸に紐解いていこか。
お菓子と、おまけシールの話と同じですか?
お菓子(=主たる債務)がなければ、おまけシール(=保証債務)の意味もなくなる
──これが付従性。
お菓子を譲り渡したら、おまけシールも一緒についていく
──これが随伴性。
前回までで保証の「入口(成立)」を見たけど、今日は保証そのものの「性質」や。
お菓子の比喩、丸ごと使えるで。
推理①:消滅における付従性──主が消えれば従も消える【設問1:免除】
- Aが、Bに対して債務を免除した場合にはCが、Cに対して債務を免除した場合にはBが、それぞれ500万円分の債務を免れる。Dが、Eに対して債務を免除した場合にはFが、Fに対して債務を免除した場合にはEが、それぞれ全額の債務を免れる。
──連帯債務、つまりケース①は、BとCが「二人で1,000万円」を負ってる。
これ、令和2年4月に改正民法が施行されてから、ルールがガラッと変わったとこやから、注意して聞きや。
民法が改正される前は、連帯債務者の一人を免除すれば、他の連帯債務者もその負担部分について免れる、という「絶対効」のルールがあった。
だが、改正後の現行民法では違う。
連帯債務者の一人に対する免除は、他の連帯債務者に効力を及ぼさない、つまり相対効になっている(民法441条)。
AはCに対して1,000万円を請求できるんや。
設問前半が言うとる「BとCがそれぞれ500万円分免れる」っちゅうのは、改正後のルールで見ると間違いになる。
負担部分が半分なのに。
令和2年4月以降の民法では、連帯債務における免除は相対効しかない。
AとBの間の話はCには及ばへん。
B・Cの間の負担割合の調整は、後から二人の間で求償するっちゅう構造になっとる。
──次、ケース②の連帯保証側を見るで。
こっちが、今日のメインの「付従性」が効いてくるとこや。
ケース②は、Dが債権者、Eが主たる債務者、Fが連帯保証人だ。1,000万円の借金の本人がEで、保証人としてFが「Eと連帯して」その債務を保証している。
やさしく言えば、「保証債務(おまけシール)は、主たる債務(お菓子)にくっついた存在やから、主が消えれば従も消える」っちゅう性質や。
具体的には三つの層に分かれる。
ここで試験用語を押さえておこう。付従性には三つの層がある。
- 成立における付従性:主たる債務が成立しなければ、保証債務も成立しない
- 内容における付従性:保証債務は主たる債務よりも重くなれない(民法448条1項)
- 消滅における付従性:主たる債務が消滅すれば、保証債務も消滅する
今日の設問1で問われている「免除」は、主たる債務が消える話なので、消滅における付従性の場面である。
お菓子がなくなれば、おまけシールに意味はあらへん。
せやから、保証人Fも全額の保証債務を免れる。
ここまでは、設問の後半「DがEに対して債務を免除した場合にはFが全額免れる」は、正しい。
Fに対して免除した場合は?
これがミソやで。
──連帯保証人について生じた事由には、連帯債務の規定が準用される(民法458条)。
さっきも見たとおり、連帯債務の免除は相対効(441条)。
せやから、DがFに「もうええわ」と免除しても、その効力は主たる債務者Eには及ばへん。
Eは依然として1,000万円の支払義務を負ったままや。
連帯保証人を免除したくらいで、主たる債務者の責任が消えるわけがあらへん。
お菓子(主)はそのままや。
設問1は、連帯債務側の前半も間違い、連帯保証側の後半の「Fへの免除でEが全額免れる」も間違い。
設問1は×や。
該当する例: ケース②で、D(債権者)がE(主たる債務者)の1,000万円の債務を全部免除した場合。主債務がなくなったので、F(連帯保証人)も保証債務を全額免れる(消滅における付従性)。
該当しない例: 同じくケース②で、DがF(連帯保証人)の保証債務を免除した場合。主たる債務者Eの債務はそのまま残る。Eは1,000万円の支払義務から逃れられない。
推理②:付従性の中核──主への請求は従に及ぶ【本日の山場】【設問2:履行の請求】
これも、片方への請求がもう片方に及ぶかどうか、っていう話ですよね。
- Aが、Bに対して履行を請求した効果はCに及ばず、Cに対して履行を請求した効果はBに及ばない。Dが、Eに対して履行を請求した効果はFに及び、Fに対して履行を請求した効果はEに及ばない。
まず、設問の前半、連帯債務側から行こか。
民法改正後の現行ルールでは、連帯債務者の一人に対する履行の請求も、相対効である(民法441条)。これは免除のときと同じ構造だ。
逆もまた然り。
改正前は、連帯債務者の一人に請求すれば、他の連帯債務者にも時効の中断(今は完成猶予)の効果が及ぶ、っちゅう絶対効ルールやったんやけど、改正後は相対効になった。
せやから、設問前半の「Bに対する請求はCに及ばず、Cに対する請求はBに及ばない」は、改正後のルールでは正しい。
主たる債務者について生じた事由は、付従性により連帯保証人にも及ぶ
──これが、民法457条1項っちゅう、保証法の中核条文や。
請求も、その「主たる債務者について生じた事由」の一つになる。
やさしく言えばこうだ。お菓子に何かが起これば、その包みの中のシールにも当然影響する。Dが主たる債務者Eに「払え」と請求すれば、その効果は連帯保証人Fにも及ぶ。これが付従性の中核である。
──ほな逆方向、Fに対する請求はEに及ぶか?
さっきと同じで、相対効。
連帯保証人について生じた事由には、連帯債務の規定が準用される(民法458条)。
連帯債務における請求は相対効(441条)やから、連帯保証人Fへの請求は主たる債務者Eには及ばへん。
「Fに対して履行を請求した効果はEに及ばない」も正しい。
設問2は、ぜんぶ正しい記述や。
これが今日の正解肢やで。
付従性と並んで、保証のもう一つの大事な性質が随伴性や。
これも今日触れとかなあかん。
明文の条文はあらへんけど、付従性の延長として理解されとる。
──たとえば、こむぎちゃんの比喩で言えば、お菓子を友達に譲ったら、おまけシールも自動的に一緒についていくっちゅうやつ。
家賃の保証人がついたアパートを、大家が別のオーナーに売ったら、賃料債権が新オーナーに移る。
そのとき、保証も自動的に新オーナーに対するものとして移るんや。
保証人にいちいち「次のオーナーへの保証もよろしく」と契約を巻き直す必要はあらへん。
これが随伴性や。
お客様夫婦の住宅ローンの話で言うと、銀行が貸付債権を別の金融機関やサービサーに譲渡しても、奥様の連帯保証はそのまま新しい債権者に向けて続く、っていうことですね。
住宅ローンでも、債権が回収会社に譲渡されることはよくある。
そのとき保証も一緒に動く。
──今日の設問2は本筋では付従性の話やけど、随伴性も性質論の双子みたいなもんやから、セットで覚えとき。
該当する例: ケース②で、Dが主たる債務者Eに対して履行を請求した場合。その効力は連帯保証人Fにも及ぶ(付従性/民法457条1項)。
該当しない例: 同じくケース②で、DがFに対して履行を請求した場合。主たる債務者Eには効力が及ばない(民法458条→441条準用)。
推理③:時効も付従性で連動する【設問3:時効の完成】
- Bについて時効が完成した場合にはCが、Cについて時効が完成した場合にはBが、それぞれ500万円分の債務を免れる。Eについて時効が完成した場合にはFが、Fについて時効が完成した場合にはEが、それぞれ全額の債務を免れる。
落ち着いて整理すれば、結論はもう見えとるはずやで。
──まず連帯債務側、ケース①から。
民法改正後の現行ルールでは、連帯債務者の一人について生じた時効の完成も、相対効である(民法441条)。Bについて時効が完成しても、Cの債務はそのまま満額残る。
せやから設問の「Bの時効完成でCが500万円分の債務を免れる」は、改正前なら正解になっとった。
けど改正後は相対効やから、これは×や。
要注意。
これも設問1と同じ構造や。
主たる債務者Eについて時効が完成した場合、主債務が消滅するんやから、保証債務も消滅する(消滅における付従性)。
お菓子が時効で消えれば、おまけシールも消える。
せやから、Fは全額の債務を免れる。設問後半の「Eについて時効が完成した場合にはFが全額の債務を免れる」は正しい。
連帯保証人について生じた事由は、連帯債務の規定の準用(458条)。
連帯債務の時効完成は相対効(441条)。
せやから、Fの時効完成は主たる債務者Eには影響を及ぼさへん。
「Fについて時効が完成した場合にはEが全額の債務を免れる」は×や。
設問3は×やな。
該当する例: ケース②で、主たる債務者Eの1,000万円の借入債務について時効が完成した場合。連帯保証人Fも全額の保証債務を免れる(消滅における付従性)。
該当しない例: 同じくケース②で、連帯保証人Fについてだけ時効が完成した場合。主たる債務者Eは依然として1,000万円の支払義務を負う。
推理④:成立における付従性──元がなければ保証は生まれない【設問4:法律行為の無効】
これは少しややこしくて。
- AB間の契約が無効であった場合にはCが、AC間の契約が無効であった場合にはBが、それぞれ1,000万円の債務を負う。DE間の契約が無効であった場合はFが、DF間の契約が無効であった場合はEが、それぞれ1,000万円の債務を負う。
まず連帯債務側、ケース①から。
──連帯債務者の一人について法律行為の無効や取消しがあっても、他の連帯債務者の債務には影響しない(民法433条)。
Bの契約が何らかの理由で無効でも、Cは依然として1,000万円の連帯債務を負う。
逆も同じ。設問前半は正しい。
連帯債務は、複数の債務者がそれぞれ独立に全部の給付義務を負っとる構造やから、一人の契約に瑕疵があっても、他の人の契約には影響せえへん。
──問題は後半の連帯保証側や。
ここが、付従性の「成立」の層が効いてくるとこや。
ここで再び、付従性の3層構造を思い出そう。
- 成立における付従性:主たる債務が成立しなければ、保証債務も成立しない
- 内容における付従性:保証債務は主たる債務より重くなれない
- 消滅における付従性:主たる債務が消滅すれば、保証債務も消滅する
設問4の後半が問うているのは、成立における付従性である。
お菓子の包み自体が最初から存在しとらん状態や。
包みがないんやから、中に入っとるはずのおまけシールも、最初から存在のしようがあらへん。
──せやから、主債務がない以上、保証債務も成立しない。
Fは何の債務も負わへん。
設問の「DE間の契約が無効であった場合はFが1,000万円の債務を負う」は、成立における付従性に真っ向から反しとる。
×や。
DF間、つまり連帯保証契約のほうが無効だった場合は?
連帯保証契約DF間が無効ということは、おまけシールだけが「実は最初から包みに入ってへんかった」っちゅうことや。
──そやとしても、お菓子そのもの(主たる債務)はちゃんと存在する。
せやから、主たる債務者Eは依然として1,000万円の借入債務を負う。
設問の「DF間の契約が無効であった場合はEが1,000万円の債務を負う」は、
これは正しいんや。
設問4は、連帯債務の前半は正しいけど、連帯保証のうちDE間の話のほうで転んどる。
設問4は×。
該当する例: ケース②で、DF間の連帯保証契約だけが無効だった場合。主たる債務者Eは依然として1,000万円の借入債務を負う(主債務には影響なし)。
該当しない例: 同じくケース②で、DE間の主たる債務契約が無効だった場合。主債務がそもそも存在しないので、Fは保証債務を負わない(成立における付従性)。
事件の結論
今日の問題も「正しいものはどれか」やから、○が正解肢やで。
設問1(誤り)──連帯債務における免除は相対効(民法441条)。改正後は他方は全額の支払義務を負ったままで、「500万円ずつ免れる」とした前半は誤り。連帯保証側も、Fへの免除は主たる債務者Eに及ばない(458条→441条準用)。後半の「Fへの免除でEが全額免れる」も誤り。
設問2(正しい)──連帯債務における請求は相対効(441条)で、前半は正しい。連帯保証側は、主たる債務者への請求は付従性で連帯保証人に及び(民法457条1項)、連帯保証人への請求は主たる債務者に及ばない(458条→441条準用)。後半もすべて正しく、本問の正解肢。
設問3(誤り)──連帯債務における時効の完成も相対効(441条)。改正後は「Bの時効でCが500万円分免れる」とした前半は誤り。連帯保証側も、Fの時効完成は主たる債務者Eに及ばない(458条→441条準用)。後半の「Fの時効でEが全額免れる」も誤り。
設問4(誤り)──連帯債務における一人の無効は他に影響しない(民法433条)ので、前半は正しい。だが、連帯保証側で「DE間(主たる債務契約)が無効でFが1,000万円負う」とした後半は、成立における付従性に反する。主債務がなければ保証も成立しない。
──壱星さん、今日いちばん持って帰ってほしいのは、「保証は主たる債務にくっついたおまけや」っちゅう感覚や。
これがお腹に落ちれば、付従性も随伴性も自然と読めるようになる。
お菓子(主)に何かが起これば、おまけシール(従)も同じように影響を受ける。
けど、おまけシール(従)に何かが起きても、お菓子(主)は別物として独立に残るんや。
壱星さんは、しばらくホワイトボードを見つめてから、ノートを閉じた。
お客様夫婦に説明するとき、図にしてみます。
「ペアローン(連帯債務)」だと、片方への請求や免除はもう片方に響かない、独立している。
「単独ローン+連帯保証」だと、主たる債務者への請求や免除は連帯保証人にも響くけど、連帯保証人への請求や免除は主たる債務者には響かない。
──ご主人と奥様、どちらが「主」になるかで、片方の出来事がもう片方にどう響くかが正反対になる。
どちらが有利かは一概に言えないけど、少なくとも構造の違いをちゃんと説明できれば、ご夫婦が自分たちで判断できる。
軒高さんの件で自分の体で覚えた「保証の重み」を、今度はお客様に伝える側に立てとる。
個人の経験を仕事に昇華させとるっちゅうのは、なかなかできんことやで。
ありがとうございます。
壱星さんは深々と一礼して、ノートを抱えて事務所を出ていった。その背中を見送りながら、こむぎちゃんがしみじみと呟いた。
──さて、こむぎちゃん、今日の教訓を一言でまとめてみ。
試験のひっかけメモ
- 連帯保証人について生じた事由には、連帯債務の規定が準用される(民法458条)。ただし連帯保証人には負担部分がないため、連帯債務で負担部分についてのみ絶対効が生じる事由(時効の完成・免除)は、連帯保証人について生じても主たる債務者に効力を及ぼさない
- 主たる債務者について生じた事由は、付従性により連帯保証人に及ぶ(民法457条1項)。請求・時効の完成・免除のいずれも、主→従の方向では効力が及ぶ
- 改正民法(2020年4月施行)後、連帯債務における請求・免除・時効の完成は、すべて相対効(民法441条)。改正前は絶対効・負担部分絶対効のルールがあったため、古い教材で覚えた知識と結論が変わるので要注意
- 連帯債務者の一人について法律行為の無効・取消しがあっても、他の連帯債務者の債務には影響しない(民法433条)。連帯債務は複数の独立した債務の集合
- 成立における付従性:主たる債務契約が無効なら、保証契約も成立しない。保証人だけが債務を負うことはありえない
- 随伴性:主たる債務に係る債権が譲渡などにより移転すれば、保証債務もそれに伴って移転する。明文の条文はないが、付従性の延長として理解される。賃貸借契約の保証人がいるアパートのオーナーチェンジ、住宅ローンの債権譲渡(サービサーへの移管)などが典型例
締め:こむぎちゃんの1行まとめ
「保証はお菓子のおまけと同じ!
だからお菓子が湿気って食べられなくなったらシールも価値ゼロ、お菓子を友達にあげたらシールもセットでついていく!
つまり保証契約って、お菓子の賞味期限管理と転売管理さえちゃんとやってれば、付従性も随伴性も全部マスターできちゃう!」
──保証も駄菓子屋経営も、結局は商品管理ですね!
お菓子のおまけは付従性と随伴性の比喩としては悪うないけど、保証契約と駄菓子屋経営は全然別もんやで!
ええか、今日の中身をもう一回いくで!
保証債務には付従性っちゅう性質がある!
これは主たる債務がなければ保証債務もない、主たる債務が消えれば保証債務も消える、主たる債務より保証債務が重くなることもない
──成立・内容・消滅の3つの層で効くんや(民法446条・448条・457条)!
ほんで主たる債務者について生じた事由は連帯保証人にも及ぶ(民法457条1項)、これが付従性の中核条文!
これは主たる債権が誰かに譲渡されたら保証もくっついていくっちゅう性質!
賃貸物件のオーナーチェンジでも、住宅ローンの債権譲渡でも、保証は自動的にセットで動く!
ほんで改正後の現行民法では、連帯債務の請求・免除・時効の完成はぜんぶ相対効や(民法441条)!
古い教材で「絶対効」って覚えた人は要注意やで!
連帯保証人への請求や免除や時効は、主たる債務者には及ばへん
──これが、ペアローン(連帯債務)と連帯保証で結論がちゃうとこの一番大事なポイントや!
お菓子(主)が消えればおまけ(従)も消える、お菓子を譲ればおまけもついていく!
けど、駄菓子屋の商品管理とは別の話やで!
今回のまとめ
- 保証債務には、付従性と随伴性という二大性質がある
- 付従性は3つの層に分かれる──成立における付従性(主債務がなければ保証も成立しない)、内容における付従性(保証は主債務より重くなれない/民法448条1項)、消滅における付従性(主債務が消えれば保証も消える)
- 主たる債務者について生じた事由は、付従性により連帯保証人にも及ぶ(民法457条1項)。請求・時効の完成・免除のいずれも、主→従の方向では効力が及ぶ
- 随伴性は、主たる債務に係る債権が譲渡などにより移転すれば、保証債務もそれに伴って移転する性質。明文の条文はないが付従性の延長として理解される。賃貸借のオーナーチェンジ、住宅ローンの債権譲渡などが典型例
- 連帯保証人について生じた事由には連帯債務の規定が準用される(民法458条)
- 連帯保証人には負担部分がないため、連帯債務で負担部分についてのみ絶対効が生じる事由(時効の完成・免除)は、連帯保証人について生じても主たる債務者に効力を及ぼさない
- 改正民法(2020年4月施行)後、連帯債務における請求・免除・時効の完成はすべて相対効(民法441条)。改正前と結論が変わるので注意
- 連帯債務者の一人について法律行為の無効・取消しがあっても、他の連帯債務者の債務には影響しない(民法433条)
付従性の3層構造
| 層 | 内容 | 根拠条文 |
|---|---|---|
| 成立における付従性 | 主たる債務がなければ保証債務は成立しない | 民法446条・448条1項類推 |
| 内容における付従性 | 保証債務は主たる債務より重くなれない | 民法448条1項 |
| 消滅における付従性 | 主たる債務が消滅すれば保証債務も消滅する | 民法448条1項・457条参照 |
連帯債務 vs 連帯保証──主→従/従→主の効力対比
| 事由 | 連帯債務(一方→他方) | 連帯保証 主→従 | 連帯保証 従→主 |
|---|---|---|---|
| 履行の請求 | 相対効(441条) | 及ぶ(付従性/457条1項) | 及ばない(458条→441条準用) |
| 免除 | 相対効(441条) | 全額免れる(付従性) | 影響なし(458条→441条準用) |
| 時効の完成 | 相対効(441条) | 全額免れる(消滅における付従性) | 影響なし(458条→441条準用) |
| 法律行為の無効 | 影響なし(433条) | 主債務無効→保証無効(成立における付従性) | 保証契約のみ無効→主債務には影響なし |
過去問(平成20年問6)各設問の正誤
| 設問 | 内容の要点 | 正誤 |
|---|---|---|
| 設問1 | 連帯債務で各500万円ずつ免れる/連帯保証で従への免除→主が全額免れる | ✕ |
| 設問2 | 連帯債務は相対効/連帯保証は主→従に及び、従→主は及ばない | ◯(正解肢) |
| 設問3 | 連帯債務で各500万円ずつ免れる/連帯保証で従の時効→主が全額免れる | ✕ |
| 設問4 | DE間契約無効でもFが1,000万円の債務を負う | ✕ |
正解:設問2