宅建にチャレンジ 権利関係

【権利関係】無権代理と表見代理をわかりやすく解説|追認・取消し・双方代理・相続との関係まで網羅|宅建探偵 第27話

スポンサーリンク

プロローグ:こむぎちゃん、お母さんのありがた迷惑

朝の事務所。こむぎちゃんがぷんぷんしていた。

こむぎちゃん
こむぎちゃん
登記田さん、聞いてください!
先週、実家のお母さんに「部屋のクローゼットを整理しておいて」って頼んだんです。
帰省したときに片づけようと思って
ほう、ええお母さんやん
登記田探偵
登記田探偵
こむぎちゃん
こむぎちゃん
ところがですよ!
帰ったら、クローゼットだけじゃなくて部屋中を模様替えされてたんです!
机の位置は変わってるし、カーテンは新しくなってるし、しかも大事にしてた推しのポスターが全部剥がされてて…!
…それはまた派手にやられたな
登記田探偵
登記田探偵
こむぎちゃん
こむぎちゃん
お母さんは「せっかくだからきれいにしてあげたの」って。
気持ちはありがたいんですけど、頼んだのはクローゼットの整理だけであって、部屋全体の模様替えなんてお願いしてないんです!
まあ、お母さんからしたら良かれと思ってやったんやろうけどな。
頼んだ範囲を超えて勝手にやられる、いうのは困るわな
登記田探偵
登記田探偵
こむぎちゃん
こむぎちゃん
良かれと思っても、お願いの範囲を超えてます!
ありがた迷惑です!
こむぎちゃんの口から「範囲を超えてる」いう言葉が出てくるとは思わんかったわ
登記田探偵
登記田探偵

そんなやり取りをしていると、事務所のドアが開いた。

登記田さん、こむぎさん…
すみません、ちょっと相談があって…
南向壱星(みなみ いっせい)
南向壱星(みなみ いっせい)

南向壱星が、いつもの明るさを少し欠いた表情で入ってきた。手にはノートとペン。

こむぎちゃん
こむぎちゃん
壱星くん!
どうしたんですか、元気ないですね?

壱星がほんの一瞬だけ表情を緩めたが、すぐに真剣な顔に戻った。

実は、うちの会社のお客さんがちょっとしたトラブルに巻き込まれまして…
南向壱星(みなみ いっせい)
南向壱星(みなみ いっせい)
何があったん?
登記田探偵
登記田探偵

壱星がノートを開いて説明し始めた。

うちの会社のお客さんで、境界 正(さかい ただし)さんという方がいるんです。
境界さんは土地の購入を検討していて、売主の地番 宏(じばん ひろし)さんが所有する土地に興味を持っていました
南向壱星(みなみ いっせい)
南向壱星(みなみ いっせい)
ほう
登記田探偵
登記田探偵
ところが、地番さん側の代理人を名乗る越権 博(えっけん ひろし)さんという別の会社の営業担当が間に入っていて、この越権さんが問題なんです。
地番さんからは「交渉をお任せする」とだけ言われていたらしいのに、越権さんが売買価格の決定まで勝手に進めていたことがわかったんです
南向壱星(みなみ いっせい)
南向壱星(みなみ いっせい)
任されたのは交渉だけで、価格の決定権限までは与えられていなかった、いうことか
登記田探偵
登記田探偵
はい。
さらにですね、越権さんは買主の境界さんの代理も同時にやろうとしていたことがわかったんです。
売主側と買主側の両方を一人で代理するのって、法律的にまずいんじゃないかと…。
境界さんから「これは大丈夫なのか?」と相談されまして
南向壱星(みなみ いっせい)
南向壱星(みなみ いっせい)

こむぎちゃんがハッとした。

こむぎちゃん
こむぎちゃん
あれ…?
頼んでいない範囲のことを勝手にやったって、さっきの私のお母さんの話と似てますね!
ほんまやな。
こむぎちゃんのお母さんはクローゼットの整理だけ頼まれたのに部屋全体を模様替えした。
越権さんは交渉だけ任されたのに価格の決定まで勝手に進めた。
頼まれた範囲を超えて行動したいう構造は同じや
登記田探偵
登記田探偵
壱星くん、この問題はいくつかの法律のルールが絡み合っとる。
順番に整理していこか
登記田探偵
登記田探偵

推理① 無権代理とは何か?|代理権なしの行為は本人に効力が及ばない

まず無権代理の基本から確認するで
登記田探偵
登記田探偵
無権代理とは、代理権を持っていない者が代理人として行動することや。
民法113条に規定されとる
登記田探偵
登記田探偵
越権さんの場合、「交渉を任せる」とは言われていたけど、「価格を決めていい」とは言われていなかった。
つまり価格の決定は代理権の範囲外だったということですよね
南向壱星(みなみ いっせい)
南向壱星(みなみ いっせい)
その通り。代理権の範囲を超えた部分については、無権代理になる。
無権代理人がした行為は、原則として本人に効力が及ばない(民法113条1項)
登記田探偵
登記田探偵
ただし、本人がその行為を追認すれば有効になる。
追認は契約時に遡って効力を生じるんや(民法116条本文)。
ただし、第三者の権利を害することはできない(民法116条ただし書)
登記田探偵
登記田探偵
つまり地番さんが「まあいいか、その価格でOKだ」と追認すれば有効になるし、「そんな権限は与えていない」と言えば無効のまま、ということですね
南向壱星(みなみ いっせい)
南向壱星(みなみ いっせい)
そういうことや。
ほんで、追認するかどうかわからない間、相手方(境界さん)は宙ぶらりんの状態になるやろ。
だから民法は相手方を守るための手段も用意しとる
登記田探偵
登記田探偵

相手方の保護①:催告権(民法114条)

境界さんは地番さんに対して、相当の期間を定めて「追認するかどうか返事をくれ」と催告できる。
期間内に確答がなければ、追認を拒絶したものとみなされる
登記田探偵
登記田探偵
こむぎちゃん
こむぎちゃん
確答がなければ拒絶とみなす…。
あれ、前に「確答がなければ追認とみなす」って話もありませんでしたっけ?
よう覚えとるな。
制限行為能力者のときは確答なし→追認とみなす
でも無権代理のときは確答なし→拒絶とみなす逆や
ここは試験で頻出のひっかけやから注意やで
登記田探偵
登記田探偵

相手方の保護②:取消権(民法115条)

境界さんは、地番さんが追認するまでの間、契約を取り消すこともできる。
ただし、境界さんが契約時に無権代理であることを知っていた(悪意)場合は取消しできない
登記田探偵
登記田探偵

無権代理人の責任(民法117条)

さらに、無権代理人である越権さん自身も責任を負う可能性がある。
相手方の選択に従い、履行または損害賠償の責任を負うんや。
ただし、相手方が悪意や有過失の場合、または無権代理人が制限行為能力者の場合は免責される
登記田探偵
登記田探偵

壱星がメモを取りながら頷いた。

無権代理人自身が責任を負うケースもあるんですね…。
境界さんにもこのことを伝えておきます
南向壱星(みなみ いっせい)
南向壱星(みなみ いっせい)

該当する例: 越権さんが地番さんから「交渉を任せる」とだけ言われたのに、価格の決定まで行った → 価格決定の部分は無権代理。地番さんが追認しなければ本人に効力は及ばない

該当しない例: 越権さんが地番さんから「価格の決定を含めてすべてお任せする」と言われていた場合 → 代理権の範囲内であり無権代理にはならない


推理② 自己契約・双方代理と代理権の濫用|原則として無権代理とみなされる行為

次に、越権さんが売主と買主の両方の代理をしようとしていた問題や。
これは双方代理いうて、法律で明確にルールが定められとる
登記田探偵
登記田探偵

自己契約とは

まず自己契約
代理人が本人との間で、自分が相手方になって契約することや。
たとえば、地番さんの代理人である越権さんが、「自分が買主になって地番さんの土地を買う」という契約をするケースやな
登記田探偵
登記田探偵

双方代理とは

次に双方代理
これが越権さんのケースに近い。
同じ人が売主側と買主側の両方の代理人を兼ねることや。
越権さんが地番さんの代理人でもあり、境界さんの代理人でもある、いう状態やな
登記田探偵
登記田探偵
それって、どっちの味方なのかわからないですよね…
南向壱星(みなみ いっせい)
南向壱星(みなみ いっせい)
その通り。
だから民法108条1項は、自己契約も双方代理も原則として無権代理とみなすと定めとるんや
登記田探偵
登記田探偵

例外:無権代理とならない場合(民法108条)

ただし、例外が2つある
登記田探偵
登記田探偵

例外①:本人があらかじめ許諾した行為 → 地番さんと境界さんの両方が「越権さんに任せていいよ」と事前に許諾していれば、双方代理でもOK

例外②:債務の履行 → すでに決まった義務を実行するだけの行為(例:すでに合意した代金を支払う手続き)は、双方代理でもOK

こむぎちゃん
こむぎちゃん
つまり、越権さんのケースは地番さんも境界さんも許諾していないから、無権代理に当たるってことですね!
そういうことや。
越権さんがやろうとしていたことは、法律的にはアウトやったんやな
登記田探偵
登記田探偵

代理権の濫用(民法107条)

もう一つ押さえておくべきルールがある。
代理権の濫用
登記田探偵
登記田探偵
これは代理人が代理権の範囲内で行動しているけど、本人の利益ではなく自己や第三者の利益のためにその権限を使うケースや
登記田探偵
登記田探偵
たとえば、地番さんの土地を売る権限を持っている代理人が、売却代金を横領するつもりで契約する、みたいなケースですか?
南向壱星(みなみ いっせい)
南向壱星(みなみ いっせい)
まさにそれや。
この場合、相手方が代理人の目的を知っていた(悪意)または知ることができた(有過失)場合、その行為は無権代理とみなされる(民法107条)。
逆に、相手方が善意無過失なら有効や
登記田探偵
登記田探偵

該当する例: 越権さんが地番さんの代理人として、同時に境界さんの代理人も兼ねて契約を進めた → 両本人の許諾がなければ双方代理=無権代理(民法108条)

該当しない例: すでに地番さんと境界さんの間で売買価格も条件も合意済みで、越権さんが代金の受け渡し手続きだけを双方の代理で行う → 債務の履行であり無権代理にならない(民法108条ただし書)


推理③ 無権代理と相続|相続した立場によって結論が180度変わる

壱星がテキストを開いた。

登記田さん、ここまでの話とは少し離れるんですが、試験のテキストに無権代理と相続の関係が出てきて、ここが難しくて…。
教えていただけますか?
南向壱星(みなみ いっせい)
南向壱星(みなみ いっせい)
よう聞いてくれた。
ここは試験でもよく狙われるところや。
具体例で説明するで
登記田探偵
登記田探偵

ケース①:無権代理人が本人を相続した場合

たとえばこういうケースを考えてくれ。
息子の公簿 太郎(こうぼ たろう)が、父親である公簿 一郎(こうぼ いちろう)の土地を、代理権もないのに勝手に売ってしまった。
その後、一郎さんが亡くなって太郎が相続したとする
登記田探偵
登記田探偵
無権代理人だった太郎が、本人の一郎さんの立場を相続したということですね
南向壱星(みなみ いっせい)
南向壱星(みなみ いっせい)
そうや。
この場合、太郎の中に本人の立場(追認拒絶できる立場)と無権代理人の立場(自分が勝手に契約した立場)が同居することになる。
ここで太郎が「あれは無権代理だったから無効だ」と追認を拒絶できるか?
登記田探偵
登記田探偵
…自分で勝手にやっておいて、拒絶するのはおかしい気がします
南向壱星(みなみ いっせい)
南向壱星(みなみ いっせい)
その通りや。
判例では、無権代理行為は当然に有効になるとされとる。
自分で勝手に契約しておいて、相続したら「やっぱり拒絶します」は信義則に反するからな
登記田探偵
登記田探偵

ケース②:本人が無権代理人を相続した場合

逆のケースも見とこか。
今度は一郎さん(本人)が生きていて、無権代理人の太郎が先に亡くなった。
一郎さんが太郎を相続したとする
登記田探偵
登記田探偵
本人が無権代理人の立場を相続した場合ですね
南向壱星(みなみ いっせい)
南向壱星(みなみ いっせい)
この場合、一郎さんは追認を拒絶できる
判例でもそう判断されとる
登記田探偵
登記田探偵
こむぎちゃん
こむぎちゃん
えっ、さっきと逆じゃないですか!
なんで?
理由はシンプルや。
一郎さんはもともと追認を拒絶できる立場にあった
息子の太郎を相続したからといって、その立場が変わるわけやない。
一郎さんは自分で勝手にやったわけやないからな
登記田探偵
登記田探偵

壱星がメモを取りながらまとめた。

つまり、自分で勝手にやった人が相続した場合は拒絶できない
もともと被害者だった人が相続した場合は拒絶できる
信義則で考えると筋が通りますね
南向壱星(みなみ いっせい)
南向壱星(みなみ いっせい)
完璧な整理やな
登記田探偵
登記田探偵

該当する例: 無権代理人の太郎が本人の一郎を相続 → 無権代理行為は当然に有効になる(追認拒絶は信義則に反する)

該当しない例: 本人の一郎が無権代理人の太郎を相続 → 一郎は追認を拒絶できる(もともと拒絶できる立場は相続で変わらない)


推理④ 表見代理の3種類|代理権がなくても有効になるケースとは

さて、最後に表見代理や。無権代理でも相手方が保護される特別なケースがある
登記田探偵
登記田探偵
表見代理とは、代理権がない(または権限外・消滅後)にもかかわらず、代理権があるような外観が存在し、かつ本人にその外観を作り出した責任がある場合に、善意・無過失の相手方を保護する制度や
登記田探偵
登記田探偵
越権さんのケースにも関係しますか?
南向壱星(みなみ いっせい)
南向壱星(みなみ いっせい)
大いに関係する。
表見代理には3種類ある。
一つずつ見ていくで
登記田探偵
登記田探偵

①代理権授与表示による表見代理(民法109条)

本人が第三者に対して、ある人物に代理権を与えたと表示した場合や。
たとえば地番さんが境界さんに「越権さんにすべて任せてあります」と伝えていたのに、実際には交渉だけしか任せていなかったケース。
境界さんが善意無過失なら表見代理が成立し、本人である地番さんが責任を負う
登記田探偵
登記田探偵

②権限外の行為による表見代理(民法110条)

これが越権さんのケースに一番近い
代理人が与えられた代理権の範囲を超えて行動した場合や。
越権さんは「交渉を任せる」という権限はあった。
でも「価格の決定」まではいとめられてへんかった
登記田探偵
登記田探偵
この場合、境界さんが越権さんに価格決定の権限もあると信ずべき正当な理由があったなら、表見代理が成立する(民法110条)。
「正当な理由」いうのは、善意かつ無過失いうことやな
登記田探偵
登記田探偵
たとえば、越権さんが「地番さんから全権委任されています」と言っていて、名刺にも「担当者」と書いてあったら、境界さんが信じるのも無理はないですよね
南向壱星(みなみ いっせい)
南向壱星(みなみ いっせい)
その通り。
そういう状況なら「信ずべき正当な理由がある」と判断されやすい。
表見代理が成立すれば、越権さんがした契約は完全に有効な代理として扱われる
本人の地番さんに効果が帰属するんや
登記田探偵
登記田探偵

③代理権消滅後の表見代理(民法112条)

3つ目は、以前は正当な代理権があったけど、その代理権が消滅した後に代理人が行動したケース。
たとえば、地番さんが越権さんの代理権を取り消した後も、越権さんが「まだ代理人です」と言って取引を続けていたような場合や
登記田探偵
登記田探偵
この場合、境界さんが代理権の消滅を知らず(善意)、かつ知らないことに過失がなかった(無過失)なら、表見代理が成立して地番さんが責任を負う(民法112条)
登記田探偵
登記田探偵

表見代理の効果

表見代理が成立した場合、完全に有効な代理として扱われる
本人に効果が帰属するんや。つまり無権代理やけど、相手方が善意無過失なら本人が責任を負わなあかん。
本人に「代理権があるような外観を作り出した責任」があるからや
登記田探偵
登記田探偵

該当する例: 越権さんが「交渉を任せる」という代理権だけ持っていたが、価格決定まで行った。境界さんが越権さんに全権があると信じ、そう信じたことに正当な理由があった → 権限外の行為による表見代理が成立(民法110条)。地番さんに効果が帰属

該当しない例: 境界さんが「越権さんには価格決定の権限はないだろう」と薄々気づいていた(有過失)→ 表見代理は成立しない。無権代理のまま


事件の結論|越権さんの行為は法的にどう整理されるか

登記田がホワイトボードに整理した。

壱星くん、越権さんの行為を法律的に整理するとこうなる
登記田探偵
登記田探偵

問題①:価格決定まで勝手に進めた → 「交渉を任せる」という代理権の範囲を超えた行為 = 権限外の無権代理 → 地番さんが追認すれば有効。追認しなければ本人に効力は及ばない → ただし、境界さんが越権さんに全権があると信じ、そう信じたことに正当な理由があれば権限外の行為による表見代理(民法110条)が成立し、地番さんに効果が帰属する可能性がある

問題②:売主・買主双方の代理を兼ねようとした双方代理 = 原則として無権代理とみなす(民法108条1項) → 地番さん・境界さんの双方があらかじめ許諾していなければ、無権代理として無効

壱星くん、まずは境界さんに状況を正確に説明してあげることが大事やな。
越権さんの行為に法律的な問題があることと、境界さんにはどんな保護手段があるかをきちんと伝えてあげてくれ
登記田探偵
登記田探偵

壱星がノートを閉じて、力強く頷いた。

登記田さん、ありがとうございます!
境界さんにきちんと説明して、地番さん側にも適切に対応します!
南向壱星(みなみ いっせい)
南向壱星(みなみ いっせい)
ええ心がけやな。
代理のルールは実務でもめちゃくちゃ大事やからな。
今日学んだことは必ず活きるで
登記田探偵
登記田探偵

壱星が帰り支度を始めた。

こむぎちゃん
こむぎちゃん
壱星くん、お茶もう一杯どうですか?
あ…ありがとうございます。
でも今日は会社に戻って早く境界さんに連絡しないと…
南向壱星(みなみ いっせい)
南向壱星(みなみ いっせい)

壱星は少しだけ名残惜しそうな顔をして、事務所を出て行った。

登記田がコーヒーをすすりながらつぶやいた。

…あの子、ほんまにわかりやすいな
登記田探偵
登記田探偵
こむぎちゃん
こむぎちゃん
え? 何がですか?
…なんでもないわ
登記田探偵
登記田探偵

試験のひっかけメモ

ひっかけ①「無権代理の催告に対して確答がなければ、追認したとみなされる」誤り。無権代理の催告で確答がなければ追認を拒絶したとみなす(民法114条)。制限行為能力者の催告(確答なし→追認とみなす)となので要注意。

ひっかけ②「相手方が無権代理であることを知っていた(悪意)場合でも、契約を取り消せる」誤り。相手方が悪意の場合は取消権を行使できない(民法115条)。

ひっかけ③「自己契約・双方代理は、いかなる場合も無権代理になる」誤り本人があらかじめ許諾した行為債務の履行は、自己契約・双方代理でも無権代理にならない(民法108条ただし書)。

ひっかけ④「本人が無権代理人を相続した場合、無権代理行為は当然に有効になる」誤り。当然に有効になるのは無権代理人が本人を相続した場合。本人が無権代理人を相続した場合は追認を拒絶できる。相続の方向で結論が逆転する。

ひっかけ⑤「表見代理が成立するには、相手方が善意であれば足りる」誤り。表見代理の成立には、相手方が善意かつ無過失であること(または「信ずべき正当な理由」があること)が必要。善意だけでは不十分。


締め:こむぎちゃんの1行まとめ

さてと、今日の教訓を一言でまとめてみ
登記田探偵
登記田探偵

こむぎちゃんが腕を組んだ。

こむぎちゃん
こむぎちゃん
はい! 今日の教訓は――
頼んでいないことを勝手にやったらダメ!
だからお母さんが勝手にやった模様替えも無権代理で無効!
民法113条により元に戻してもらいます!
なんでやねーん!!
登記田探偵
登記田探偵
お母さんの模様替えは代理の話やなくてただの親心やろ!
いいか、無権代理は代理権なしの行為で、原則として本人に効力が及ばない!
本人が追認すれば有効!
催告の確答なしは追認拒絶とみなす(制限行為能力者と逆)!
自己契約・双方代理は原則として無権代理!
無権代理人が本人を相続したら当然に有効、逆なら追認拒絶できる!
表見代理は3種類で、成立したら完全に有効!

お母さんには「ありがとう、でも次はクローゼットだけにしてね」って言いなさい!
登記田探偵
登記田探偵
こむぎちゃん
こむぎちゃん
でも…頼んでいない範囲のことを勝手にやったのは事実じゃないですか…?
ちゃんとしなさい!
登記田探偵
登記田探偵
こむぎちゃん
こむぎちゃん
…てへっ♪

今回のまとめ

【無権代理(民法113条)】

  • 無権代理=代理権を持たない者が代理人として行動すること
  • 原則として本人に効力が及ばない
  • 本人が追認すれば有効になる(追認は契約時に遡る=遡及効。民法116条)
  • 相手方の保護:催告権(確答なし→追認拒絶とみなす。民法114条)、取消権(悪意なら不可。民法115条)
  • 無権代理人の責任:履行または損害賠償(民法117条)

【自己契約・双方代理(民法108条)】

  • 自己契約=代理人が自ら相手方となって契約すること
  • 双方代理=同一人が売主・買主双方の代理人を兼ねること
  • 原則として無権代理とみなす
  • 例外:本人の許諾がある行為、債務の履行

【代理権の濫用(民法107条)】

  • 代理権の範囲内だが、自己や第三者の利益のために行動すること
  • 相手方が悪意または有過失の場合 → 無権代理とみなす

【無権代理と相続】

ケース 結論 理由
無権代理人が本人を相続 無権代理行為は当然に有効 自分で勝手にやった者が拒絶するのは信義則に反する
本人が無権代理人を相続 本人は追認を拒絶できる もともと拒絶できる立場は相続で変わらない

【表見代理の3種類】

種類 条文 内容 相手方の要件
代理権授与表示 民法109条 本人が「代理権を与えた」と表示した 善意・無過失
権限外の行為 民法110条 代理権の範囲を超えて行動した 信ずべき正当な理由(善意・無過失)
代理権消滅後 民法112条 代理権が消滅した後に行動した 善意・無過失
  • 表見代理が成立すると完全に有効な代理として扱われる(本人に効果が帰属する)
  • 本人に「代理権があるような外観を作り出した責任(帰責性)」があることが前提

参考書籍:2026年版 史上最強の宅建士テキスト

スポンサーリンク

-宅建にチャレンジ, 権利関係
-, , , , , , , , , , ,