宅建にチャレンジ 権利関係

契約の種類を整理せよ!双務・片務・諾成・要物の違いとは|宅建探偵 第32話

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プロローグ

こむぎちゃん
こむぎちゃん
登記田さん!
昨日、冷蔵庫の中を「毎日」「週一」「いつか使う」の3段に分けたんですよ!
ええことやな。
整理整頓は大事や。
登記田探偵
登記田探偵
こむぎちゃん
こむぎちゃん
そしたら「いつか」の段がパンパンで……
半年前の柚子胡椒とか出てきました。
それは分類やなくて、捨てるかどうかの問題やろ。
登記田探偵
登記田探偵

ガラッとドアが開き、南向壱星が少し気まずそうな顔で入ってきた。こむぎちゃんの表情がぱっと明るくなり、壱星もつられて口元が緩んだが、すぐに真剣な顔に戻った。

登記田さん、実はお客様の外構さんに「この契約は双務ですか?片務ですか?」って聞かれて、うまく答えられなかったんです。
南向壱星(みなみ いっせい)
南向壱星(みなみ いっせい)
こむぎちゃん
こむぎちゃん
あっ、分け方がわからない問題!
私の冷蔵庫と同じですね!
……まあ構造は同じやな。
分類の軸を知らんと整理でけへん。
よし、今日は契約の分類の「軸」を整理しよか。
登記田探偵
登記田探偵

推理①:双務契約と片務契約 / 有償契約と無償契約

契約の分類には3つの軸がある。
1つ目は「双務か片務か」、2つ目は「有償か無償か」。
この2つはセットで押さえるのがコツや。
登記田探偵
登記田探偵
双務契約は、当事者双方がお互いに債務を負う契約
外構さんが土地を買うなら、売主は引渡し義務、外構さんは代金支払い義務を負う。
お互いに義務があるから双務や。
登記田探偵
登記田探偵
反対に片務契約は、一方だけが債務を負う契約
贈与やったら、あげる側だけが渡す義務を負って、もらう側には義務がない。
登記田探偵
登記田探偵
次の軸の有償・無償は、対価があるかどうかですか?
南向壱星(みなみ いっせい)
南向壱星(みなみ いっせい)
そうや。
有償契約は双方が経済的対価を出し合う契約無償契約は対価関係にない契約
売買は有償、贈与は無償やな。
登記田探偵
登記田探偵
ここで大事なポイント。
双務契約は必ず有償になる
お互いに義務を負うなら対価を出し合うことになるからな。
せやけど片務契約は有償も無償もある
利息付きの消費貸借で、お金を渡した後は返す側だけが義務を負う片務やけど、利息がつく分は有償や。
登記田探偵
登記田探偵
片務なのに有償……。
ここはひっかかりそうですね。
南向壱星(みなみ いっせい)
南向壱星(みなみ いっせい)

該当する例: 売買契約は双務・有償。売主は引渡し、買主は代金支払いの義務を負い、対価関係にある。

該当しない例: 贈与契約は片務・無償。「双方が約束に関わっている=双務」ではなく、双方が債務を負うかどうかが基準。


推理②:諾成契約・要物契約・要式契約

3つ目の軸は「契約がいつ成立するか」
民法の原則では、契約は当事者の合意だけで成立する。
書面もハンコも不要。
これを
諾成契約という。売買も口頭の合意で成立する。
登記田探偵
登記田探偵
こむぎちゃん
こむぎちゃん
え、口約束でいいんですか!?
法律上はな。
ほんで合意だけでは足りず、目的物の引渡しで初めて成立する契約要物契約
代表例は書面によらない消費貸借
「貸して」「ええよ」だけでは成立せん。
実際にお金を渡して初めて成立する。
登記田探偵
登記田探偵
ただし書面でする消費貸借は、2020年改正で諾成契約になった
書面で合意すれば引渡し前でも成立する。
ここは改正の重要ポイントや。
登記田探偵
登記田探偵
最後に要式契約
一定の方式がないと成立しない契約で、代表例は保証契約
書面でしなければ効力を生じない(民法446条2項)。
保証人に重い責任を負わせるから、慎重にさせる趣旨やな。
登記田探偵
登記田探偵
同じ「契約」でも、成立の仕方が全然違うんですね。
南向壱星(みなみ いっせい)
南向壱星(みなみ いっせい)
そうや。
諾成が原則、要物と要式は例外
この構造を押さえるのが大事やで。
登記田探偵
登記田探偵

該当する例: 売買契約は諾成契約。口頭の合意だけで成立し、書面は成立要件ではない。

該当しない例: 書面によらない消費貸借は要物契約。合意だけでは不足で引渡しが必要。ただし書面でする消費貸借は諾成契約になる。


事件の結論

ありがとうございます。
3つの軸で整理すればいいんですね。
南向壱星(みなみ いっせい)
南向壱星(みなみ いっせい)
ただ、軸がわかっただけやと、個別の契約がどこに入るかはまだ整理できてへんやろ。
売買・贈与・賃貸借・使用貸借・消費貸借、それぞれの分類まで押さえて初めて使いこなせるようになる。
登記田探偵
登記田探偵
はい、また相談に来ます!
南向壱星(みなみ いっせい)
南向壱星(みなみ いっせい)

壱星が帰り際、こむぎちゃんに「冷蔵庫の整理うまくいくといいですね」と笑顔で声をかけた。
こむぎちゃんが「半年前の柚子胡椒だけは捨てられないんですよね〜」と屈託なく返すと、壱星は少し名残惜しそうに手を振って出ていった。

……柚子胡椒より先に整理すべきもんがあると思うけどな。
登記田探偵
登記田探偵

登記田は小さく苦笑した。


試験のひっかけメモ

  • 「双務=有償」は正しいが「有償=双務」とは限らない。 片務でも有償の場合がある
  • 契約は原則として合意のみで成立する(諾成契約)。 書面・押印は成立要件ではない
  • 書面によらない消費貸借は要物、書面でする消費貸借は諾成。 一律「消費貸借=要物」は誤り
  • 保証契約は要式契約(民法446条2項)。 口頭では効力を生じない
  • 使用貸借は2020年改正で諾成契約に変更。 旧法の「要物」は現行法では誤り

締め:こむぎちゃんの1行まとめ

さてと、今日の教訓を一言でまとめてみ。
登記田探偵
登記田探偵
こむぎちゃん
こむぎちゃん
はい!つまり契約は冷蔵庫と同じで3段に分ければスッキリするけど、「いつか」の段に放置すると半年経っても柚子胡椒ってことですね!
なんでやねーん!! 
登記田探偵
登記田探偵
契約の分類は「双務か片務か」「有償か無償か」「諾成か要物か要式か」の3軸や!柚子胡椒はどの軸にも入らんわ!
双務は必ず有償やけど片務は有償も無償もある、諾成が原則で要物と要式は例外、この関係をちゃんと押さえなあかんねん!
ちゃんとしなさい!
登記田探偵
登記田探偵
こむぎちゃん
こむぎちゃん
…てへっ♪

今回のまとめ

契約の分類は以下の3つの軸で整理する。

①双務契約と片務契約: 双務契約は双方が債務を負う。片務契約は一方のみ。双務契約は必ず有償だが、片務契約は有償も無償もある。

②有償契約と無償契約: 有償契約は双方が経済的対価を出し合う。無償契約は対価関係にない。

③諾成契約・要物契約・要式契約: 諾成契約は合意のみで成立(原則)。要物契約は引渡しも必要。要式契約は書面等の方式が必要。

分類軸 種類 判断基準
義務の方向 双務契約 双方が債務を負う
片務契約 一方のみが債務を負う
対価の有無 有償契約 双方が経済的対価を出す
無償契約 対価関係にない
成立要件 諾成契約 合意のみで成立(原則)
要物契約 合意+目的物の引渡し
要式契約 合意+一定の方式(書面等)

参考書籍:2026年版 史上最強の宅建士テキスト

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