第64話 「判決文問題ってどう解くの?」法定地上権は“1番抵当権のとき”で決まる|平成21年問7・最判平成2年1月22日|民法388条|宅建

プロローグ

午後の宅建探偵事務所。こむぎちゃんが分厚い文庫本を机に伏せて、盛大にため息をついていた。

どないしたんや、辛気くさい顔して。
登記田探偵
こむぎちゃん
聞いてください登記田さん。
このミステリー、犯人が気になりすぎて、もう我慢できなかったんです。
だから終盤の「探偵による謎解き」の章を、いきなり開いて読んじゃいました。
……それで?
登記田探偵
こむぎちゃん
「犯人はあなただ!」って書いてあるんですけど、その「あなた」が誰なのか、さっぱりわからないんです!
登場人物の関係も、それまでに何が起きたのかも知らないまま読んだから、もう誰が誰だか……。
そらそうやろ。
結末だけ先に見ても、そこに至るまでの話を知らんかったら意味わからんわな。
登記田探偵
こむぎちゃん
ですよね。
あきらめて1ページ目から順番に読み直したんです。
そうしたら、伏線も人間関係もすうっと頭に入って、謎解きの場面で「なるほど!」ってなりました。
物語って、最初の設定から順番に読まないとダメなんですね。
結末だけ先に読んでも、誰がいつ何をしたのか、順番がわからないと推理できません。
まあ、話には順番っちゅうもんがあるからな。
登記田探偵

そこへ、若手宅建業者の壱星が、難しい顔で資料を抱えて入ってきた。

登記田さん、ちょっと知恵を貸してください。
会社の先輩の畝井さんから相談を振られたんですけど、僕の手にはちょっと余る案件で……。
南向壱星(みなみ いっせい)

今日の事件:平成21年 問7

畝井さんのお客さんで、躯体省吾(くたい しょうご)さんという方がいて。
ある土地と、その上の建物の権利関係でずっと悩んでらっしゃるんです。
南向壱星(みなみ いっせい)

壱星が説明した経緯はこうだった。土地を甲土地、建物を乙建物と呼ぶ。

はじめ、甲土地の所有者は敷板和夫(しきいた かずお)さん、乙建物の所有者は躯体さんで、土地と建物の持ち主は別々だった。あるとき敷板さんが、にじいろ信用金庫からお金を借り、甲土地に1番抵当権を設定・登記した。この時点でも、土地は敷板さん、建物は躯体さんのままである。

その後、躯体さんが敷板さんから甲土地を買い取り、土地も建物も躯体さんの所有(同一人)になった。さらにそのあと、躯体さんが別の金融機関から借り入れ、甲土地に2番抵当権を設定・登記した。そして今、にじいろ信用金庫の1番抵当権が実行され、甲土地が競落されようとしている。

躯体さんの疑問は3つあります。
ひとつ、1番抵当権を付けたときは土地と建物の持ち主が別々でした。
でもそのあと躯体さんが土地も買って、同じ人の持ち物になった。
これ、法定地上権は成立するんでしょうか。
ふたつ、なぜ「2番抵当権を付けたとき同一所有だったか」じゃなくて、「1番抵当権のとき」で決まるんですか。
みっつ、似たケースで、借地人から建物を買ってすぐ土地に抵当権を付けた場合は成立すると聞きました。
何が違うんでしょう。
南向壱星(みなみ いっせい)
……それと、これは僕自身の悩みなんですけど。
この相談、判例を調べていたら、まさにこのケースを扱った「判決文問題」が過去問にあったんです。
でも僕、受験のときから判決文問題がほんとうに苦手で。
長い判決文が出るたびに頭が真っ白になるんです。
あの形式、どう読めば解けるんでしょうか。
南向壱星(みなみ いっせい)
こむぎちゃん
あっ、それ、わたしのミステリーと一緒です!
途中から読むと順番がわからなくて混乱するんですよね。
どの時点で何が起きたか、順番が大事なんじゃないですか?
構造は同じやな。
法定地上権も、“いつ”の時点で見るかを読み違えたら、全部おかしなる。
ちょうどええ過去問があるで。
平成21年の問7。
これは「判決文問題」っちゅう、ちょっと変わった形式の問題なんや。
登記田探偵

法定地上権に関する次の1から4までの記述のうち、民法の規定、判例及び判決文によれば、誤っているものはどれか。

(判決文) 土地について1番抵当権が設定された当時、土地と地上建物の所有者が異なり、法定地上権成立の要件が充足されていなかった場合には、土地と地上建物を同一人が所有するに至った後に後順位抵当権が設定されたとしても、その後に抵当権が実行され、土地が競落されたことにより1番抵当権が消滅するときには、地上建物のための法定地上権は成立しないものと解するのが相当である。

  1. 土地及びその地上建物の所有者が同一である状態で、土地に1番抵当権が設定され、その実行により土地と地上建物の所有者が異なるに至ったときは、地上建物について法定地上権が成立する。
  2. 更地である土地の抵当権者が抵当権設定後に地上建物が建築されることを承認した場合であっても、土地の抵当権設定時に土地と所有者を同じくする地上建物が存在していない以上、地上建物について法定地上権は成立しない。
  3. 土地に1番抵当権が設定された当時、土地と地上建物の所有者が異なっていたとしても、2番抵当権設定時に土地と地上建物の所有者が同一人となれば、土地の抵当権の実行により土地と地上建物の所有者が異なるに至ったときは、地上建物について法定地上権が成立する。
  4. 土地の所有者が、当該土地の借地人から抵当権が設定されていない地上建物を購入した後、建物の所有権移転登記をする前に土地に抵当権を設定した場合、当該抵当権の実行により土地と地上建物の所有者が異なるに至ったときは、地上建物について法定地上権が成立する。
設問3、見てみい。
躯体さんの相談、これとそっくりそのままやろ。
まずは、こういう「判決文問題」をどう攻めるか、解き方の型から教えたるわ。
登記田探偵

推理①:そもそも「判決文問題」はどう解く?──結論・要件・時系列を図にする3ステップ

[st-kaiwa6r]お願いします。
これ、毎回ほんとに苦手で。
長い一文を読んでるうちに、何の話かわからなくなるんです。[/st-kaiwa6]

みんなそこでつまずくんや。
コツはな、判決文を頭から丸暗記しようとせんことや。
判決文問題は、条文知識を問うてるんやない。
その場で配られた判決文を正確に読み取って、各設問にあてはめられるかを問うとる。
やさしく言うたら、判決文がその日のルールブックや。
暗記してきた条文やのうて、目の前に配られたルールをその場で適用する競技やと思え。
登記田探偵

登記田が示した解き方は、3つのステップだった。

ステップ1:結論を探す。 判決文の末尾「〜と解するのが相当である」の直前を読む。そこに裁判所の結論がある。本問なら「地上建物のための法定地上権は成立しない」。

ステップ2:どんな事案かを時系列で図にする。 「いつ・誰が・何をしたか」を順番に並べる。本問の判決文の事案は、こう整理できる。

  1. 1番抵当権の設定時──土地と地上建物の所有者が異なる(法定地上権の要件を満たしていない)
  2. その後、土地と建物を同一人が所有するに至る
  3. 後順位(2番)抵当権が設定される
  4. 抵当権が実行され、土地が競落されて1番抵当権が消滅する

この①〜④の流れで、判決文は「法定地上権は成立しない」と言っている。

ステップ3:設問を事案にあてはめる。 判決文と同じ構造の設問を探し、「成立しない」という結論と矛盾する記述があれば、それが誤りだ。

この型は、法定地上権に限った話やない。
判決文問題は権利関係でも、借地借家でも、宅建業法でも、いろんな分野で顔を出す。
ここで型を体に入れとくと、どの分野で出ても落ち着いて解けるで。
登記田探偵

該当する例: 末尾の「〜と解するのが相当」から結論を先に押さえ、事案を時系列で図にしてから設問にあてはめる受験生。判決文がどんなに長くても解ける。

該当しない例: 長い一文を頭から順に丸暗記しようとして、結論も時系列も整理できないまま設問に進む受験生。情報量に飲まれて混乱する。


推理②:法定地上権は“いつ”で決まる?──1番抵当権設定時が基準(判決文の核心)

軸になる設問3を見てみよう。

  1. 土地に1番抵当権が設定された当時、土地と地上建物の所有者が異なっていたとしても、2番抵当権設定時に土地と地上建物の所有者が同一人となれば、土地の抵当権の実行により土地と地上建物の所有者が異なるに至ったときは、地上建物について法定地上権が成立する。
これ、判決文の事案そのまんまや。
そして躯体さんのケースとも、ぴたっと重なる。
登記田探偵

躯体さんのケースを時系列で並べてみる。にじいろ信用金庫の1番抵当権設定時、甲土地は敷板さん、乙建物は躯体さんで、所有者が異なっていた。その後、躯体さんが甲土地を買い取って同一人の所有になり、続いて2番抵当権が設定され、いま1番抵当権が実行されようとしている。判決文の①〜④と、見事に一致する。

答えは、判決文が言うとおり、法定地上権は成立しない
せやから「成立する」と書いとる設問3が誤り
──今日の事件は「誤っているものはどれか」やから、この設問3が正解っちゅうことになる。
登記田探偵

ポイントは判断の基準時だ。実行されるのが1番抵当権である以上、法定地上権が成立するかどうかは、1番抵当権が設定された時点で判断する。その時点で「同一所有者」と「建物の存在」という要件を満たしていなければ、あとから同一人になっても、後順位抵当権が設定されても、法定地上権は成立しない

なるほど……。
「順番がわからないと推理できない」って、こむぎちゃんが言ってたとおりですね。
どの時点で見るかが全部なんだ。
南向壱星(みなみ いっせい)

該当する例: 1番抵当権設定時に所有者が別々→その後同一人・後順位設定→1番抵当権の実行。法定地上権は成立しない(設問3)。

該当しない例: 1番抵当権設定時に、既に土地も建物も同一人の所有だったケース。こちらは要件を満たし、法定地上権は成立する。


推理③:なぜ「1番抵当権のとき」なのか──抵当権者の担保価値への期待を守る

でも、なぜ2番抵当権のときじゃダメなんでしょう。
2番を付けたときには、ちゃんと同じ人の持ち物になっていたのに。
南向壱星(みなみ いっせい)
ええ質問や。
理由はな、1番抵当権者の見込みを守るためや。
登記田探偵

にじいろ信用金庫が1番抵当権を設定したとき、甲土地は敷板さんのもの、乙建物は躯体さんのもので、所有者が別々だった。このとき信用金庫はこう評価している。「土地と建物の持ち主が違うのだから、この土地に法定地上権の負担がつくことはない。だから土地の担保価値は高い」と。その高い価値を前提に、お金を貸したわけだ。

ところが、あとから躯体さんが土地を買って同一人になり、後順位抵当権が設定されたからといって、ここで法定地上権の成立を認めてしまったらどうなるか。土地に他人の建物が居座る権利がついて、土地の価値が大きく下落する。最初に「負担なし」と見込んで融資した信用金庫の評価が、後の事情で裏切られてしまう。それはあんまりだ、というのが判決の考え方である。

これ、前にやった「更地ルール」と根っこは同じや。
更地に抵当権を付けたら、あとから建物を建てても法定地上権は成立せえへん。
理由は、更地の高い担保価値を見込んだ抵当権者を守るためやったやろ。
抵当権者が設定時に見込んだ担保価値を守る──この一本の発想で、どっちも説明がつくんや。
登記田探偵

なお、2番抵当権者の立場はどうかというと、こちらは保護に値しない。2番抵当権者は、すでに1番抵当権がついた土地を前提にお金を貸している。あとから来た者が、先にいた1番抵当権者の地位を覆してまで保護される理由はないのだ。

該当する例: 1番抵当権者が「法定地上権の負担なし」と評価した担保価値を、後の事情から守る。

該当しない例: 後から同一人になった事情を理由に、1番抵当権者の当初評価を覆して法定地上権を認める。これは認められない。


推理④:似て非なるケース──借地人から建物を買って登記前に設定(設問4・最判昭53.9.29)

4つめの疑問です。
借地人から建物を買って、すぐ土地に抵当権を付けた場合は成立する、と。
設問4ですね。設問3とどう違うんですか。
すごく似て見えるんですが。
南向壱星(みなみ いっせい)
  1. 土地の所有者が、当該土地の借地人から抵当権が設定されていない地上建物を購入した後、建物の所有権移転登記をする前に土地に抵当権を設定した場合、当該抵当権の実行により土地と地上建物の所有者が異なるに至ったときは、地上建物について法定地上権が成立する。
ここがいちばん混同しやすいとこや。
違いは一点だけ。抵当権を設定した“その時点”で、所有者が同一人やったかどうかや。
登記田探偵

設問4の事案を時系列で見てみる。もともと土地の所有者がいて、その土地の借地人が建物を持っていた。土地の所有者は、まずこの借地人から建物を買い取る。この買い取りで、土地も建物も同じ人(土地所有者)のものになった。そのあとで、土地に抵当権を設定したのである。

つまり、抵当権設定時には、既に土地も建物も同一人の所有になっている。建物の移転登記がまだ済んでいなくても、実質的な所有で判断するから、要件は満たされる(最判昭53.9.29)。だから法定地上権は成立する。設問4は正しい

設問3との違いを、はっきり対比しておこう。

  • 設問3=1番抵当権設定の「時点」で、土地と建物の所有者が別々だった。その後同一人になっても、判断の基準時は設定時だから、もう手遅れ→不成立
  • 設問4=抵当権設定の「時点」で、既に同一人だった。登記が未了なだけ→成立
前に「同一所有者かどうかは登記名義やのうて実質で見る」っちゅう話をやったやろ。
設問4はまさにそれや。
登記が遅れとるだけで、中身は同一人の所有や。
設問3は、そもそも設定時に中身からして別人やった。
ここが運命の分かれ道っちゅうわけや。
登記田探偵

該当する例: 借地人から建物を購入後、移転登記前でも、抵当権設定時には既に実質同一所有→成立(設問4)。

該当しない例: 抵当権設定時点で、現に他人が所有する建物が建っている土地→設問3のように不成立になる場面。


推理⑤:基本形と更地ルールのおさらい(設問1・設問2)

残る設問1と設問2は、前にじっくりやった論点だ。おさらいだけしておこう。

  1. 土地及びその地上建物の所有者が同一である状態で、土地に1番抵当権が設定され、その実行により土地と地上建物の所有者が異なるに至ったときは、地上建物について法定地上権が成立する。
これは法定地上権の、いちばん基本の形や。
設定時に土地も建物も同一所有者→実行で持ち主が分かれた→建物のために法定地上権が成立する。
なんもひねりがない。
設問1は正しい
登記田探偵
  1. 更地である土地の抵当権者が抵当権設定後に地上建物が建築されることを承認した場合であっても、土地の抵当権設定時に土地と所有者を同じくする地上建物が存在していない以上、地上建物について法定地上権は成立しない。
こっちは更地ルールや。
設定時に建物がない以上、あとから建てても、抵当権者が建築を承認しとっても、法定地上権は成立せえへん(最判昭36.2.10)。
これも前にやったとおり。
設問2は正しい
登記田探偵

該当する例: 同一所有者の土地に抵当権→実行で所有者が分離→成立(設問1)。

該当しない例: 更地に設定→後から建築(承認あり)→不成立(設問2)。


推理⑥:平成21年問7をあてはめる

ほな、設問1から順に判定していこか。
「誤っているものはどれか」やから、間違っとる設問を1つ見つけたら、それが正解や。
登記田探偵

設問1──同一所有者の土地に1番抵当権、実行で所有者が分離。法定地上権の基本形で成立する。記述のとおりで正しい

設問2──更地に設定後、建築が承認されても、設定時に建物がない以上は不成立。記述のとおりで正しい

設問3──1番抵当権設定時に所有者が別々。その後同一人になり後順位抵当権が設定されても、判決文のとおり法定地上権は成立しない。「成立する」とする本設問は誤り=本問の正解

設問4──借地人から建物を購入後、移転登記前でも、抵当権設定時には既に実質同一所有。法定地上権は成立する。記述のとおりで正しい


事件の結論

ほな壱星、躯体さんの3つの疑問に答えていこか。
登記田探偵

疑問1「躯体さんのケースで法定地上権は成立するか」──成立しない。1番抵当権設定時に土地と建物の所有者が別々だったため、その後に同一人になっても、判決文(最判平2.1.22)のとおり成立しない。

疑問2「なぜ1番抵当権のときで決まるのか」──1番抵当権者が「負担なし」と見込んで評価した担保価値を守るため。後の事情で1番抵当権者の評価を覆すことは許されない。

疑問3「借地人から建物を買って登記前に設定した場合との違い」──そのケースは、抵当権設定時に既に同一所有(登記が未了なだけ)なので成立する。躯体さんのケースは、設定時にそもそも所有者が別人だった点が決定的に違う。

ほんで壱星、自分自身の悩みやった判決文問題の解き方な。
末尾の「〜と解するのが相当」から結論を先につかんで、事案を時系列で図にして、同じ構造の設問を探してあてはめる。
この3ステップを体に入れとけば、もう頭は真っ白にならんで。
登記田探偵
すっきりしました。
畝井さんにも、時系列の図を描いて説明してみます。
躯体さんには厳しい結論ですけど、根拠がはっきりしていれば納得していただけると思います。
南向壱星(みなみ いっせい)
それがええ。
権利関係は“いつ”を外したら全部崩れる。
図に起こして、どの時点で誰が何を持っとったか、順番で押さえるんやで。
今日の事件の正解は設問3
z1番抵当権基準を見落として「成立する」と書いた設問3が答えや。
登記田探偵

壱星は時系列の図を丁寧にノートに書き写すと、礼を言って事務所を出ていった。


試験のひっかけメモ

  1. 実行されるのが1番抵当権なら、法定地上権の成否は1番抵当権の設定時で判断。設定時に所有者が別々なら、後から同一人になっても・後順位抵当権が付いても成立しない(最判平2.1.22)
  2. 「2番抵当権設定時には同一人だった」は典型ひっかけ。基準はあくまで1番抵当権設定時
  3. 借地人から建物を買って移転登記前に土地へ抵当権を設定した場合は、設定時に既に実質同一所有なので成立する(最判昭53.9.29)。設問3と混同させてくる
  4. 判決文問題は、末尾「〜と解するのが相当である」の手前に結論がある。先に結論と事案の時系列をつかんでから設問にあてはめる
  5. 更地ルール(設定時に建物なし→承認があっても不成立)も、根は「抵当権者が設定時に見込んだ担保価値を守る」点で1番抵当権基準と共通

締め:こむぎちゃんの1行まとめ

さてと、今日の教訓を一言でまとめてみ。
登記田探偵
こむぎちゃん
はいっ!
「判決文は、最後のページの『〜と解するのが相当』だけ読めば犯人(正解)がわかる!あと、法定地上権は2番抵当権から読み始めても推理できる!」
──結末だけ先に読めばいいってことですね!
なんでやねーん!!
登記田探偵
結末だけ読んでも事案がわからんかったら、設問にあてはめられへんやろ!
ミステリーと一緒で、結論だけやのうて、いつ誰が何をしたか時系列を図にして読むんや!
ほんで法定地上権は1番抵当権設定時で判断する!
設定時に所有者が別々なら、あとから同一人になっても、後順位抵当権が付いても成立せえへん!
理由は1番抵当権者が見込んだ担保価値を守るため!
借地人から建物買うて登記前に設定したケースは、設定時に既に実質同一所有やから成立する!
基本形は成立、更地は不成立!
ええか、判決文は“結論+時系列”、法定地上権は“1番抵当権のとき”、これだけは試験会場で絶対に思い出すんやで!
登記田探偵
ちゃんとしなさい!
登記田探偵
こむぎちゃん
…てへっ♪

今回のまとめ

  • 判決文読取り問題は、条文の暗記ではなく「示された判決文を読み取って設問にあてはめる」力を問う。末尾の結論→事案の時系列→設問へのあてはめ、の順で攻める
  • 法定地上権の成否は、実行される抵当権が1番抵当権なら1番抵当権の設定時を基準に判断する
  • 1番抵当権設定時に土地と建物の所有者が別々なら、その後に同一人になっても、後順位抵当権が設定されても、法定地上権は成立しない(最判平2.1.22)
  • 理由は、1番抵当権者が設定時に「負担なし」と見込んで評価した担保価値を守るため。後順位抵当権者の地位は、これを覆すほど強くはない
  • 借地人から建物を購入後、移転登記前に土地へ抵当権を設定した場合は、設定時に既に実質同一所有なので成立する(最判昭53.9.29)。設問3と混同しないこと
  • 基本形(同一所有者の土地に抵当権→実行で分離)は成立、更地ルール(設定時に建物なし)は承認があっても不成立。いずれも「設定時の担保価値を守る」という一貫した発想

判決文読取り問題の解き方3ステップ

ステップ やること 本問での具体例
① 結論を探す 末尾「〜と解するのが相当」の直前を読む 「法定地上権は成立しない」
② 時系列で図にする いつ・誰が・何をしたかを順番に並べる 1番抵当権設定時は所有者別→同一人に→後順位設定→実行・競落
③ 設問にあてはめる 判決文と同じ構造の設問を探し、結論と矛盾する記述を見抜く 設問3が「成立する」としており誤り

「いつの時点で同一所有か」による成否

設問 抵当権設定時の所有関係 成否 根拠
1 設定時に土地・建物とも同一所有者 成立 民法388条(基本形)
2 設定時は更地(建物が存在しない) 不成立 最判昭36.2.10
3 1番抵当権設定時は所有者が別々(後に同一人・後順位設定) 不成立 最判平2.1.22
4 設定時に既に同一所有(建物の移転登記は未了) 成立 最判昭53.9.29

設問3 vs 設問4 ──運命の分かれ道

設問3 設問4
抵当権設定時点の所有者 土地と建物が別々 土地と建物が同一人
登記の状態 建物の移転登記が未了
成否 不成立 成立
理由 設定時に要件を欠く。後の同一化では覆らない 設定時に実質同一所有。登記未了は問わない

平成21年問7 正誤表(誤っているものはどれか)

設問 論点 判定 根拠
1 同一所有者の土地に1番抵当権→実行 ◯(成立する、で正しい) 民法388条(基本形)
2 更地に設定後の建築・承認あり ◯(成立しない、で正しい) 最判昭36.2.10
3 1番抵当権設定時は所有者別、2番設定時に同一→土地競売 ×=誤り(正解)。1番抵当権基準で判断するため成立しない 最判平2.1.22
4 借地人から建物購入、移転登記前に土地へ抵当権設定→実行 ◯(成立する、で正しい)。実質同一所有で判断 最判昭53.9.29

参考書籍:2026年版 史上最強の宅建士テキスト

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